弁護士コラム
【賃貸借契約で、貸す側が気を付けなければいけない事】
最近の相談案件の中で興味深いものがありましたので、ご紹介します。
【相談者】=居住用建物の大家
◆ 平成14年に自分が所有している居住用建物を知人から紹介された人物に対し
敷金・契約金なしで且つ低家賃で貸した。
その際に特約条項が明記されている賃貸借契約書を作成
【特約条項が明記されている賃貸借契約書】
『賃借人は敷金・契約金なしで且つ低家賃で借りるので 、賃主の都合
で売却・取り壊しをする際には2か月以内に明け渡す』
最近になり、自分自身が賃貸人に建物の敷地を売却する必要が出てきた為
賃借人に対し前記特約に従って2ヶ月以内に建物からの立退きを申し出たところ
賃借人がこれに応じてくれない。
【弁護士の見解】
◆ 建物の賃貸借については、一時使用の場合
(賃貸期間が短期間で更新も予定されてない場合)を除いて借地借家法の規定が適用される。
期間の定めのない賃貸借にあたっては、解約の申入れをしてから、6ヶ月が経過しなければ賃貸借は終了しないことになっている。
これに抵触する賃借人に不利な特約条項は無効と定められている為、2ヶ月以内の立退きを法的には強制できない事になる。
(本件の2ヶ月で賃貸借が終了する場合は正にこれに該当する)
従って、2ヶ月以内に立ち退いてもらう為には、賃借人が納得する立退料をこちらから支払うしかない。
ちなみに、賃借人が敷金・契約金なしで且つ低家賃で借りていたという事情は
解約申入れから6ヶ月経過後の立退きにあたり立退料を支払う必要があるかどうかを考える際に考慮される事になる。
いずれにせよ、建物の賃貸借契約の締結にあたり賃主にとって重要な特約が入る場合には事前に弁護士に相談しておくことが肝心です。
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